読み進めていくといつしか夢中になって読み進めていました(笑)。
北海道大学工学部2年の佐伯衣理奈は、元恋人で友人の川原圭の背中を、いつも追いかけてきた。そんな圭が2カ月前、札幌駅で列車に轢かれて亡くなった。彼は同級生からの中傷に悲観して自死を選択したのか、それともホームから転落した男性を救うためだったのか。衣理奈は、有機素子コンピュータで会話プログラムを開発する南雲助教のもとを訪れ、亡くなる直前の圭との会話を再現するのだが。恋愛と世界についての連作集
(小説のあらすじより)
小説「グリフォンズ・ガーデン」の続編となる今作。内容は、コンピュータープログラムについての研究と人間社会についての内容、と難しく書きましたが、気軽に読める恋愛モノに、そこに発生する様々な出来事が展開されていきます。
連作集ということで、各作品がつながって、本を構成していますが、それがまたいい感じに全体となって面白く読めました。
恋愛モノを正直、あまり読まないのですが、そんな私でも読みやすかったです。恋愛モノが強いわけではなく、むしろ出来事がベースなようで、そこに恋愛が入り込んでくる感じです。そこに、甘酸っぱい感じな恋愛モノでもありました。
物語が展開されることに、コンピュータプログラム系がベースとなって取り上げられているので、ちょっとした専門用語なりも入っていますが、苦手な人でもそれなりに分かりやすいものになっていると思います。
何となくでも理解して面白く読めると思いますし、といいつつプログラムについてめちゃめちゃ書かれているわけではないので、苦手な人でもそこまで気を張る必要はなく楽しめると思います。
「グリフォンズ・ガーデン」の続きになるようですが、今作だけでも楽しめるないようです。
そして、私がやはり魅了されたのが、作者の独特な雰囲気の世界観です。
小説「未必のマクベス」で、その独特な雰囲気の世界観に魅了され、「グリフォンズ・ガーデン」を読み、今作を読みましたが、その独特な雰囲気の世界観が楽しめ、さらなる作品を期待しています。
この独特な雰囲気の世界観、というのが適切な言い方かどうかわかりませんが、不思議に読み入らせ、引き込まれます。
出来事ベースに、恋愛モノが入った形で、気軽にも読める作品となっていました。