なりたい職業はどういう読書が必要かが分かりやすく書かれていた、新書『人をつくる読書術』(佐藤 優)

 「〇〇をしたい」と思った時に、この本がいいかもしれません。

“本を読む人”だけが得られること。
作家、外交官、教育者、キリスト教者――
多彩な顔を持つ筆者が教える「読書の哲学」
(本より)

 本の内容は、
・第1章 作家をつくる本の読み方
・第2章 外交官をつくる本の読み方
・第3章 人間をつくる本の読み方
・第4章 教育者をつくる本の読み方
・第5章 教養人をつくる本の読み方
・第6章 キリスト教者をつくる本の読み方
で構成されていました。

 というのは、本の構成でもありますが、作家や外交官などになるための、本の読み方が書かれていました。

 本は入門編みたいな感じで、佐藤氏の独自方法が書かれていて、分かりやすい内容となっていました。

 興味深かった内容は、

・不器用ながらも筋を通してきたからこそ生き残ることができた。筋を通すには、思索によって状況を解釈し、自分なりに価値判断ができていなければならない。

・よくないのはコピペして安心し、その内容をしっかり理解していないままにしておくこと。

・表現には言語力が必要不可欠で、その力をつけるのが読書。読書で養った読解力と表現力は表裏の関係にあり、読解力以上に表現力を高めることはできない。

・言語能力は「読む」「聴く」「話す」「書く」の4つの力から成り立つ。そして聴く、話す、書くという3つの力が読む力を超えることは絶対にない。読む力が天井になる。読む力があれば常に良い表現ができるとは限らないが、良い表現ができる人は必ず正確に読む力を持っているもの。

・「要約」「敷衍」という二つの文字を書き、本を読むにはこの二つが重要。要約は話を短くまとめること。すなわちあらすじで、少し訓練すれば誰もが書けるようになる。一方の敷衍は話を広げることで、背景の知識や他の小説などの知識がなければうまくできないという。

・自然主義など文学などの潮流を意識し、時代背景とともに作品を理解することなど、文学作品に触れる際の基本的なスタンスを身に付けること。

・読書するということは他人の頭で考えること。物知りにはなるけれどそれだけでは人生の本当の豊かさには触れられない。大切なのは自分の頭で考える力をつけること。
 ある本を読んで、この人はこんな考え方をしているのかと知ったら今度は一度頭を白紙に戻して別の人の本を読む。いろんな人の考え方を押さえておくと、自然に自分の頭で考えることができるようになる。

・知識先行、論理先行になると人間的な生き生きとした感情や生命力を失ってしまう。しかもそれが組織の中で蔓延すると、多くは思考停止、判断停止になり自分の頭で考えることをしなくなってしまう。
 硬直化した考えから抜け出すには、一度白紙に戻すことが大事になる。考え方をリセットし、新たな知識や情報を受け入れること。物事を絶対的な視点ではなく相対的な視点で見ること。

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