様々な熱い野球ノートが紹介されていた、本『野球ノートに書いた甲子園3 流した汗は、グラウンドだけではない』(高校野球ドットコム編集部)

 「野球ノートに書いた甲子園」シリーズも、今回で第3弾
 今回も、様々な高校の「熱い想い」が飛び交う野球ノートが紹介されていた。

 分かりやすく、読んでいると熱くさせられて、さらには、自分自身や自分の人生についても考えさせられる。
 様々な高校の「野球ノート」が取り上げられており、読んでいる側にもちょっとした人生や生活のヒントになり、さらには高校生の熱さ、高校野球の面白さが伝わってきた。

 今回取り上げているのは、
・佐賀北高校(佐賀県):「日本一、心がぶつかり合う日誌――記憶の鎖となれ」
・健大高崎高校(群馬県):「コメントのない野球日誌」
・向上高校(神奈川県):「人で勝つ野球日誌」
・四條畷高校(大阪府):「伝わり続ける一冊の野球ノート」
・静岡高校(静岡県):「心の火を灯し続ける日誌」
・松商学園高校(長野県):「ときを超える野球ノート」
の6校の野球ノートが紹介。

 興味深かった内容は、

・「先生との意思疎通」――それは、なかなか言えない悩み相談の時もあれば、感情的なバトルとなることもある。まさにそれが野球日誌に求めるもの。だいたいきれいごとをそつなく書いてすませようとするのが人間。でもそれでは面白くない、意味がない。
 最初は本音を書けないことも分かっている。だけど、そういうきれいごとばかり書いてある日誌であれば、いくら数ページにわたって書いていても、「お前の日誌は面白くない、読みたくない、つまらん」とはっきり書く。

・リハビリについて。確実に良くなっているのは分かるはず。痛みがゼロの方が逆に怖い。
 1つの痛みを乗り越えた先にまた階段を1段昇っていく、今日は50m、明日は55mとか、今日は50%の力、明日は60%……というように負荷を少しずつかけたり、強弱をつけて自分の体を試していく。

・ただ、いつか見返した時にそのシーンが蘇るような日誌を書くこと。

・半ページの時は、その日の振り返りで終わっていたが、1ページ書くためには細かい所まで気付いて書かないといけないため、以前よりも、いろんなことに対して細部まで見られるようになってきた。
 人は習慣にしないとなかなか変わっていかないもの。
 良いノートというのは、本人の自由な発想で、自分の気持ちを率直に書き綴った内容のノート。逆境の場面や試合で負けた後に、どれだけその原因を分析できているかという内容のノート。

・必ず報いる時がくる。自分の信念を曲げずに正しいと思えることを人よりもやり続ければ必ず信用される人になる。人の価値はどれだけの人から信頼を勝ち取れるか。

・気持ちの切り替えができる状況は、自分でつくり出すことで、誰かにしてもらうことではないという。自身を前面に出していくために取り組む。

・勝負に徹する強さを練習の時から自分で追い込んでいく必要がある。大人が作った環境でやっていても他人に作られたものでは本物にならない。

・ノートを書くことによって野球だけではなく、普段の生活で失敗したこともメモするという習慣がついて、改善すべき点とかも考えるようになった。型にはまった人間ではなく、自分で考えてやっていくっていう習慣が身に付いた。

・字を見る。
 →選手によって字の上手、下手はあるが、いつも通りの字を書いているか。上手、下手なりにいつもと同じ字なのか、ちょっと違うのか。やっぱり気持ちがマイナスに向かっている時というのは、字も荒んでいる。
 だから、妙に丁寧に書いてなくてもいつも通り書いてあれば、いつも通りの状態だと思うし、そうでなければかける言葉を探さなければいけない。
 「字」がいつも通りであれば、「適正な火」がついている状態で問題はない。しかし、そうでなければ「火を少し鎮めるべきか、燃やしてあげるべきか」を考え、かける言葉を探す。
 このように野球ノートを使って、選手の心の状態を探ろうとする。

・人間というものは、最初より、最後の締めくくりが大切である。
 恐れられた後は、何故に恐れられたかの意を良く解して見ること。
 野球を甘く考えるな。甘く考えると甘い人間になってしまう。
 不可能を可能にするのが良いのである。生きた努力の陰には必ず生きた進歩がある。
 技で人に勝つよりも心で勝て。心で勝つと自然に技でも勝てる。
 野球の真の面白さは二死からである。
 人におくれず、いつも人より一歩先のことを行え。
 バッヂを今こうしてつけられる意を深く考えよ。
 授業のない時は図書館にて勉強せよ。
 十二日より金銭出納帖をつけること。
 走者を置いて一本ヒットを打てる打者になれ。