新書『米中衝突 危機の日米同盟と朝鮮半島』(手嶋 龍一,佐藤 優)

 国際情勢を考えるうえで、著者の本を読んでいるとヒントになります。

日本が米中衝突の最前線になる日

米朝首脳会談を通じて「恋に落ちた」と金正日を讃えるトランプ。北朝鮮の背後にあって「海洋強国」を目指す習近平の中国。朝鮮半島は中華圏に引き寄せられ、日本は米中衝突の最前線で烈風に曝されつつある。「米朝開戦か!」と騒がれていた2017年秋の時点で、「米朝はいずれ結ぶ」と言い当てたインテリジェンスの巨匠2人が、「新アチソンライン」という新たな視座とともに提示する驚愕のシナリオとは。日本の危機を直視せよ!
(帯より)

 本の構成は、
第1章 「北朝鮮」が炙り出す日本のインテリジェンス
第2章 OSを共有する米朝トップが「歴史的合意」を演出した
第3章 韓国を取り込み、アメリカを拘束した~米朝「共同宣言」を読み解く~
第4章 日本の援助などいらない!? 北朝鮮が狙うカネとカジノ
第5章 夕景の北朝鮮 そしてグレートゲームの日は昇る
第6章 38度線が崩れ 日本は米中衝突の最前線になる
第7章 戦略なきトランプ 日本に「カード」はあるのか
となっています。

 ニュースを読むだけではなく、そのニュースからどういうことか、考えることは大切ですが、本書はその考えるヒントになると思います。
 アメリカ、中国、北朝鮮などの問題を取り上げ、日本の立ち位置を考えるヒントになる内容となっていました。

 興味深かった内容は、

・中間選挙では与党が議席を減らすことは、職大統領に、中間選挙でお灸をすえておくということもある。

・外交にとって、誤解ほど恐ろしいものはない。
 全く「腹」のないことが、相手に間違って伝わって事態が複雑化するというのは、馬鹿馬鹿しいだけではなく危険だということ。

・中長期的には、北東アジアにおけるアメリカのプレゼンスが希薄になるという。
 安全保障政策の見直しだとか、考えるべきことは数多くあるが、いずれにしても日米同盟に多くを依存しなければならないという構造は変わらない。
 問題は、本当に寄り掛かれるのか、ということ。