独特な雰囲気とリズムの主人公に魅せられた、小説『未必のマクベス』(早瀬 耕)

 独特な雰囲気に引き込まれ、物語にいつしか入り込んでいました。

IT企業Jプロトコルの中井優一は、東南アジアを中心に交通系ICカードの販売に携わっていた。同僚の伴浩輔とともにバンコクでの商談を成功させた優一は、帰国の途上、澳門の娼婦から予言めいた言葉を告げられる――「あなたは、王として旅を続けなくてはならない」。やがて香港の子会社の代表取締役として出向を命じられた優一だったが、そこには底知れぬ陥穽が待ち受けていた。異色の犯罪小説にして、痛切なる恋愛小説
(小説のあらすじより)

 読んでいると、主人公の独特な雰囲気に魅了され、物語に入り込んでいました。
 その主人公の独特な雰囲気やリズムは、読者をどこか不思議に引き込まれ、主人公と怒っていることがどういう展開になるのか、と読み進めてしまいました。

 どこか謎を抱えた物語展開が魅力的な作品となっていると思います。作者の他の作品も気になりました。

 物語の中で、興味深く心に残ったところは、

明るい場所にいるあなたには、暗闇は暗闇としか見えないけど、暗闇からは、明るい場所がよく見える。
→明るい場所のありがたみは、明るい場所しか知らない時に分かるといいものです。

相手がいかさまをしているからといって、自分もいかさまをすることが得策だとは考えない。もともと、カジノのテーブルなんて、多かれ少なかれいかさまをしているんだから、それを承知でゲームに参加すればいい。何も自ら、囚人のジレンマに堕ちることはない。
→社会で生きていくと様々なことが起こりますが、このことを理解しておくことは重要だと感じました。

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