小説のタイトル「騎士団長殺し」が気になったことが読むきっかけになった。
物語は、人物画を専門にする主人公がある時、職を休業し、神奈川の小田原の友人宅に住むことになった。そこでは、施設に入っていた有名な画家が住んでいた家。その家である絵を発見してしまう。そこから、主人公に様々な奇妙な出来事が起こり、それに翻弄されつつ、絵を通じて様々な人と出会い、物事が展開していく物語。
その不思議な展開には、ちょっとした人生のヒントも盛り込まれているようで、そのちょっとしたヒントのスパイスと、奇妙な出来事を探っていく展開、そして、主人公の独特な雰囲気がまた、読んでいて魅了されるのが分かった。
主人公に起こった出来事、そこから、主人公の行動、そして、歩んで行く道……それらが、人生についてに触れているような感じを与え、不思議な出来事とそれを探っていく主人公、そして、登場人物らが、上手い具合に物語に融合して、物語を通じて人生に、読み入らせて、考えさせられるようで面白く読むことができた。
正直、主人公の独特な雰囲気、その行動ペースなどに魅了され、物語に入り込めた。さらには、小田原というところに、小説を通じてその魅力的な部分を感じた。
物語は、人のリアルな生活に、不思議な出来事が組み合わされ、ちょっとした不思議な世界が展開され、そこからモノゴトの進んでいく道が描かれていた。そのことが、どこか読んでいる側の人生についても考えさせられるような仕掛けを感じ、考えさせられるようになりつつ、物語を楽しめた。