これからの世界は? のヒント、新書『「暴走する」世界の正体 最強論客が読み解く戦争・暴力・革命』(宮崎 学,佐藤 優)

 これからの世界をどう見ていくか、のヒントが盛り込まれている。

トランプ「後」の混迷を解き明かす!
北朝鮮によるミサイル発射、相変わらず続く無差別テロ、反グローバリズムの台頭、格差と貧困の問題…。世界は混乱の真っ只中にある。また、トランプ大統領のこれまでの常識とは異なる発言や政策は世界を震撼させ、予測不能にさせている。このような「暴走する」世界を、私たちはいかに正しく読み解いていくべきか? これまでにの常識が全く通じない“平和なき”時代を、「戦争」「革命」「暴力」をキーワードに、わが国最強の論客2人が大胆に迫る。
(新書裏表紙より)」

 内容は、
・第1章 新手一国主義という自覚のない現代日本
・第2章 平和なき世界での革命の可能性
・第3章 「思いつき」で世界を破壊するトランプ
・第4章 北朝鮮崩壊と戦争の可能性を読み解く
・第5章 日本人が皮膚感覚としてわからない沖縄問題
で構成されている。

 今後の世界情勢を見ていくヒントが盛り込まれいた。

 興味深かった内容としては、

・革命は、政治革命、文化革命、社会革命、経済革命などいくつかの位相に分けられる。

・ドイツにおいては、政治革命は終わっているが、社会と経済の革命は終わっていない。経済と社会問題で水準を上げていけば政治問題は解決するということ。政治、経済、社会という順番で、問題と解決策を立てる必要がある。
 しかし、これには解けない問題が出てくる。沖縄の場合は、以前は経済的に非常に貧しく、社会的にも差別があった。ところが、そこは今は解決している。
 沖縄県は国土の0.6%しかいないのに、なぜ国内の7割の米軍基地があるのか。これは政治判断。政治に差別があるから。そうすると、「経済と社会問題で水準を上げていけば政治問題は解決する」という理論はなじまない。「沖縄は貧乏じゃないし、社会的差別もないから、政治的な革命も必要ない」ということになってしまう。
 即ち政治革命、経済革命、社会革命、文化革命というのは、全て独立している変数になるのでは。だから、どれかの革命に付随して他の革命が起きるとは限らない。
 ソ連においては政治革命、社会革命、経済革命は行われたが、文化革命はなされなかった。だから、ドフトエフスキーとかトルストイとか、古典的な文学がそのまま遺産として引き継がれている。

・一番強いのは文化。文化の破壊も含めて、革命の中の「鍵」となる要素を見なくてはいけない。
 文化の様式が変われば、政治も経済も全部変容する。
 文化的な拘束性というのはすごく強い。