独特な雰囲気の主人公がデジタル犯罪に立ち向かう、小説『隠蔽捜査7 棲月』(今野 敏)

 デジタルな犯罪事件に、一見アナログ(?)な主人公がどう立ち向かうのか?

竜崎伸也、大森署最後の事件!?
原因不明のシステムダウン、謎めいた殺人事件、そしてついに竜崎の身辺にも動きが――?

私鉄と銀行のシステムが次々にダウン。不審に思った竜崎はいち早く署員を向かわせるが、警視庁成安部長から横槍が入る。さらに、管内で殺人事件が発生。だが、伊丹から異動の噂があると聞かされた竜崎はこれまでになく動揺していた――不気味な影忍び寄る最新長篇!
(小説の帯より)

 冒頭にも書きましたが、一見、アナログ(?)な主人公・竜崎伸也が、デジタルな犯罪にどう立ち向かっていくのか、という展開を楽しく読めました。

 主人公は相変わらずの合理主義で、様々な暗黙のルールの垣根を越えていきます。それでも、これまでの経験から主人公は自分の置かれた環境から得られたこともあり、登場人物との関係性も、今回の物語からも楽しめました。

 もう一つ、先ほどのデジタル犯罪に対しても、これまでの登場人物などからの経験と、そして、持ち前の独特な主人公の性格が結びついていく過程が、楽しめるのが、この小説シリーズの醍醐味でした。

 ただ、これまでの勢いは少し落ち着いたようにも感じますが、それでも主人公の独特な雰囲気は楽しめる一冊になっていました。

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