丁寧な描写で物語がじっくりと展開。物語の行方を考えつつ楽しく読めた、小説『シャドー81』(ルシアン・ネイハム)

 スパイものだと思い読んでみるとあらすじにあるように、冒険小説ものみたいだった。実にじっくりと展開するような展開。

ロサンゼルスからハワイに向かう747ジャンボ旅客機が無線で驚くべき通告を受けた。たった今、この旅客機が乗っ取られたというのだ。犯人は最新鋭戦闘爆撃機のパイロット。だがその機は旅客機の死角に入り、決して姿を見せなかった。犯人は二百余名の人命と引き換えに巨額の金塊を要求、地上にいる仲間と連携し、政府や軍、FBIを翻弄する。斬新な犯人像と、周到にして大胆な計画――冒険小説に新たな地平を切り拓いた名作
(小説のあらすじより)

 物事の描写がすごく丁寧でゆっくりと展開。私自身は、ちょっと丁寧すぎる感じはあったものの、クライマックスになると、そうした展開が一気に結びついて、物語の展開が気になるようになりました。
 丁寧な描写で展開していくことから、物語の進み方も分かりやすかったため、どう展開していくかを、推理しながらと楽しむことができました。
 「主人公の行方はどうなるのか?」「何を企んでいるのか?」っと考えながら読み進めていくと、知らず知らずのうちに主人公に感情移入していました。ただ、そこまでのめり込むまでがちょっと大変というか、冒頭から中盤ぐらいまでは、ちょっと入り込めずに、淡々と物語をイメージするように読み進めていきました。

 物語のテンポは、ゆったり。後半にそのゆったりさが一気に効いてくる感じでした。
 そして、主人公が仕掛けるモノが、どう展開していくかは、すごく見もので読みごたえがありました。