様々な媒体からの情報収集方法が盛り込まれていた、本『僕らが毎日やっている最強の読み方 新聞・雑誌・ネット・書籍から「知識と教養」を身につける70の極意』(池上 彰,佐藤 優)

 池上彰氏と佐藤優氏の情報収集、そして、活用方法の方法を分かりやすく紹介されていて、情報収集や活用のノウハウ、ヒントが多数盛り込まれていました。

2人の最新全スキルが1冊でわかる
新聞 1紙5分で読む、電子版は使える
雑誌 週刊誌、中吊り、dマガジン活用法
ネット スマホ、SNSはどう使う? おすすめサイト全一覧
書籍 速読、多読のやり方、本の知識を活かすコツ

普通の人でも実践できる!
「知の教科書」5大特色

1 遂に出た! 2人の読み方 「最新の全スキル」が1冊に これだけ読めば、全ノウハウがわかる
2 「普通の人ができる方法」をやさしく具体的に解説 今日からできる! これなら続けられる
3 重要ポイントがすぐわかり、読みやすく、記憶に残る 70の極意+総まとめ 重要箇所は色付き
4 具体的な新聞・雑誌リスト、おすすめサイト・書籍を紹介 「何を、どう読むか」 答えがここに!
5 2人の仕事グッズも完全公開 見るだけで参考になる! ここだけでも面白い! 「特別付録」も3つ収録
(本の帯より)」

 新聞、雑誌、ネット、書籍といったものからどうやって情報収集をするか、それらをどう活用していくか、そのノウハウがいろいろと盛り込まれていました。
 長期的な方法から今すぐできることなど、様々なヒントがあり、すぐにでもできることも多数盛り込まれていました。

 さらに両者のチェックしている媒体など、その媒体の特徴だったりもあり、どの媒体をどう活用していくかも具体的に書かれているので、すごく参考になります。
 ネットが普及して情報収集原としても活用できる今、その注意点とどういった収集の仕方はあるか、電子媒体の活用法も盛り込まれていました。同時に、これまでの情報媒体の新聞や雑誌、書籍の良さも述べられていました。

 上記のようなことが分かりやすく書かれていたので、読みやすく、見やすくもなっていました。

 興味深かった内容としては、

・まず新聞で日々のニュース全体を捉え、ニュースで気になるテーマがあれば、書籍で深堀していく。ニュースをきっかけにして、分からないところが出てきたら関連する本を片っ端から読む。
 →世の中で起きていることを「知る」には新聞がベースになり、世の中で起きていることを「理解する」には書籍がベースになる。両方を上手に使いこなすことが重要。
 新聞をしっかり読めば「何が起きているか」を知ることはできるが、それだけでは「なぜそうなったのか」「その背景にあるものは何か」までは理解できない。当然、「この先どうなるか」の分析や推測もできない。

・朝は見出しを中心に、新聞全体にざっと目を通す。気になった記事は、あとでじっくり読む。

・社説やコラム欄を見ておくとマスメディアの見解の大きな時流も捉えやすい。
 →自分が呼んでいる新聞の「バイアス」を知っておけば、他の記事を読む時にも役立つ。

・安倍政権以降の大きな変化として、ヨーロッパに関するニュースが全国紙全体から減っているということ。
 →ギリシャ危機やイギリスのEU離脱のような大きなニュースがあると一時的に記事が増えるが、一段落すると記事の量がいっきに少なくなる。

・海外のニュースは新聞に限らず、日本のメディア全体から減っている。
 →日本人の精神が内向きになっていることの裏返しの現象。テレビでも国際ニュースはどんどん減っている。理由は遠い国のことなので関心が続かず、視聴率が取れないから。
 新聞やテレビが報じない以上、海外紙や雑誌、書籍やネットを見て補う必要がある。ネットの普及で、海外のニュースを直接集められるようになったのは大きなメリットだが、ネットの情報は玉石混淆すぎて、逆に大きな誤解を起こしやすいものでもある。正確な情報を集めるには、ますます時間とお金、そしてメディアを読みこなす技法が必要になっている。

・地方紙で注意して見ているのは「不動産広告」や「書籍広告」。
 →新築と中古、マンションと戸建てのどちらが多いか。これには経済の動きが顕著に表れる。経済的に元気なところは、やはり新築のマンションの広告が多い。
 地元で出版された書籍や、中央で出版されたものでも地元に関係する書籍、その県で売れている書籍の広告がよく出ている。書籍広告は特色が出ており、その土地ならではの郷土の歴史に関する書籍の紹介が多い印象を受ける。書籍広告からは、県の雰囲気と元気度も分かる。若さがあり、これからアグレッシブにビジネスを展開していこうとしている地域では投資関係や自己啓発の本が多くなり、逆にシニア層の多い地域では年金の本が多くなる。

・新聞はあくまで「飛ばし読み」が基本。
 →見出しを見て、読むかどうか迷った記事は読まない。

・新聞を読む時は、「自分ならこの記事よりこの記事を大きく載せるのに」「この小さな記事は今後、どう展開するだろう」と考えながら読むと、ニュースを読む力がさらに磨かる。
 →ベタ記事から重要な情報を得るには、その背景事情に関する膨大かつ正確な知識が必要。読者はあえてベタ記事までは踏み込まずに、池上さんやジャーナリストの手嶋龍一さんのような、ベタ記事をきちんと読んでそこから発展させる力のある人からの情報に頼る方がいい。

・しばらく「ニュースを寝かせる」。
 →ほとんどの記事は、掲載された時点ではどのくらい重要なのか判断できない。「大きな記事=重要」「小さな記事=重要ではない」とは限らない。あえてしばらく時間を置くことで、記事の重要度をはかり、ニュースバリューを時間に判断してもらう。

・分類や保管に時間とエネルギーをかけすぎないこと。
 →自分のやりやすいようにアレンジする、いい加減なくらいでちょうどいい。

・電子雑誌の定額読み放題は、雑誌との付き合い方が劇的に変わる。

・雑誌というのはパラパラ読んでいると、意外な情報に出合ったりする。
 →雑誌は「興味や関心、視野を広げる」のに役立つ。新聞も同じだが、興味のないテーマや記事もページをめくるとおのずと目に入る。その点が、興味のある記事だけをクリックするネット情報と大きく違うところ。

・どの週刊誌でも基本はあくまで「娯楽」として読みつつ、記事の内容は鵜呑みにせず、興味や関心を持つ程度に留める。
 →「自分が信頼できる書き手の記事を中心に読む」というのが、週刊誌との王道の付き合い方。

・「定額読み放題サービス」を契約して以来、「気になった記事が3本あったら買う」。
 →関心のある記事や特集を拾い読みするだけでも、得るところはたくさんある。

・ある程度、読む記事を絞り込むことが大切。
 →読む読まないの選択基準は、自分の今の興味に限定せず、勉強になりそうな記事や、今後広がっていきそうなテーマの記事。そうしていかないと、どんどん視野が狭くなってしまう。世の中の多くの人が関心を持つ問題については、関心を持っていた方がいい。
 雑誌を読むペースは、新聞のように毎日の日課にしなくてもいい。移動時間や隙間時間に読むスタイルで十分。雑誌は、書籍のページを開くほどの余裕がない、ほんのちょっとした空き時間に気分転換に読むという方法がいい。少しでもまとまった時間があれば、書籍を読む。

・雑誌から何か有益な情報や知識を得ようと思った時には、「理解できる記事だけをピックアップして読み込むこと」。あるいは「自分が信頼できる書き手の記事を中心に読むこと」。

・限られた時間の中で効率的に雑誌を読むなら、「これはよくわからない」という記事は入り口ではじくこと。
 →時間を効率良く使うためには、「自分が信頼できる書き手のものを読む」「理解できる記事だけ読む」というスタンスが取捨選択の指針。

・最近のポータルサイトで気になるのは、過去の閲覧履歴や検索履歴に合わせて、表示される内容が変わること。
 →「勝手に分析されて自分に入ってくる情報が偏っていく」というネット独自の傾向は非常に危険。きっと毎日パソコンやスマホで「日本が危ない、日本人はだまされている」という情報ばかり見ている。そうすると、ますますそういうい記事ばかりが上位に表示されるようになって、他の視点が入る隙がなくなってしまう。SNSでも自分が選んだ人や同じ意見の人、身近な人の発言ばかり見るので、どんどんバイアスが広がっていく。
 「関連する情報が集まりやすい」ことにはメリットもありますが、その一方で、視野が狭まり、情報が貧困になっていく危険性が高いのも否めない事実。

・ネットサーフィンの良くない点は、時間の浪費に加えて、そこで見た情報がほとんど記憶に残らないこと。

・SNSのメリットは、インプットよりアウトプットにある。
 →きちんと読み手を意識して、自分が得た情報を整理して書く。そうやってアウトプットすることで、知識は自分のものになっていく。それに、アウトプットを意識してインプットする方が効率も上がっていく。SNSで発信力をつけようと思ったら、まず正しい日本語で、誰が読んでも分かりやすい文章を書くことを意識すること。

・イランに日本語版のニュースサイトがあるということ。
 →イランのことだけでなく、中東情勢全般やアメリカ内政についても、イラン側がどう見ているのかを知ることができる。元のメディアを直訳したものではなく、日本の読者を意識して独自の編集がされている。それでも、基本的な主張は十分捉えられる。その気になれば、日本語でかなりの情報が収集できる。

・クラウド利用について、やみくもに何でも保存するのではなく、「保存するに値する情報かどうか」をきちんと吟味、精査してから預けること。
 →「保存するに値する」と判断した情報も、きちんと目を通して、頭の中に叩き込んでから保存すること。

・いくらクラウドに情報を詰め込んでも、頭の中に「こんなことが書いてあったな」とおぼろげにでも残っていないと、必要な時にアクセスできまない。
 →大事そうな記事だから、とりあえず残しておこう」では意味がない。情報の骨格をきちんと頭に叩き込んだ上で保管しておくと、必要に応じてキーワード検索すれば、該当する情報を引き出すことができる。クラウドは何でも詰め込める分、「精査、吟味、きちんと読む」という基本がおろそかになりがちということ。きちんと読んで精査、吟味したものをクラウドに預けて、クラウドを「ゴミ箱」にしないこと。

・いい基本書を見つけ、基礎知識をしっかり身につければ、新聞やネットでニュースを見た時にも因果関係がすぐに理解できるようになる。
 →一度基礎が分かってしまうまでが大変だが、それをやっておくかどうかで、あとあと大きな違いが出てきくる。そのために「書籍」と「教科書・学習参考書」を使いこなせるといい。

・まとめ買いした本を何冊か読んでいくと、それらの関連書籍のもとになっている「タネ本」(基本書)が分かること。
 →多くは、そのテーマの初期に出版された本。それが分かったら、そのタネ本をしっかり熟読する。どんなジャンルでもベースになるタネ本はせいぜい3冊以内なので、そこはしっかり読むといい。タネ本って、関連書籍でもあまり言及されていない。
 類似の関連書を4~5冊も読めば、たいてい見えてくる。後発の方が読みやすかったり、補足情報がついていて分かりやすかったりするが、やはりタネ本が情報の密度が一番濃い。発見したタネ本は内容がきちんと理解できるまで何度も読むと、それがそのジャンルに関する基礎知識になる。あとは日々の情報で、知識をアップデートしていけばいい。

・いい本に出合うためのコツはひとつ、「本をあくさん買うこと」。
 →「迷ったら買う」を原則。

・論理的な思考力を身につけるためには、難解な本と格闘する経験が必要不可欠。
 →とても難しいけど理屈が通っている本を丁寧に読む。そうすると、物事を論理立てて考えられるようになったり、騙されにくくなる。脳みそが汗をかくほど必死に向き合うこと。
 優れた古典は複数の読み方、読み解きが可能。それぞれの立場によって解釈や受け止め方が全然違ってくる。

・若い頃は「せっかく買ったのに、もったいない」と我慢して読んでいたが、ある時人生の残り時間を考えるようになり、「時間の方がもったいない」と思うようになり、「じっくり熟読する本」と「速読で済ませる本」を分けるようにしている。
 →「本の種類」によって変えている。基本書となる「タネ本」はじっくり読む。ほとんどがそのジャンルの初期に出版されたものなので読み難いこともあるが、理解できるまで何度も読みむ。速読で済ませるのは、これまでに読んだ関連本よりも内容が薄かったり、新しい発見があるとは思えない本。ただし、どの本も「はじめに」と「おわりに」には必ず目を通す。熟読する本なら全体像を俯瞰できてスムーズに読めるし、速読で済ませる本も「はじめに」「おわりに」に目を通しておくことで、後々の記憶に大きな差が出てくる。
 読み飛ばす本も全てのページをめくるようにしている。熟読するに値する本かどうかを見極めるコツは、最初に本の「真ん中」部分を開いて、そこを少し読んでみること。冒頭と末尾は、著者と編集者が「売る」ために一生懸命力を入れてつくるが、真ん中は書き手も編集者も緊張と集中力が続かず、中だるみしがち。だから、あえてその本の一番弱い真ん中の部分を拾い読みすることで、本の水準を知る。真ん中あたりに誤植が多かったり、文章が論理的につながっていないような本は、あらかじめ排除して読まないようにしている。

・一番のおすすめは中学校の教科書。
 →ビジネスパーソンにぜひ手に取ってほしいのは、「公民」と「歴史」、それから「国語」と「英語」の教科書。

・歴史に関しては、「世界史A」「日本史A」で学び直すことを推奨。
 →必要最小限にして最大公約数のところをきちんと押さえてあるので、時間のないビジネスパーソンに最適。「日本史A」も近代に焦点を当てた構成になっている。教養としては古代から学ぶのはいいが、現代の時事問題、ニュースを理解する意味では、近代からの流れを知っておけばまず大丈夫。歴史を勉強するなら、まずは「日本史A」「世界史A」で基本と大まかな流れを押さえた上で、あとは自分の興味や必要な分野を掘り下げていく方法が一番効率的。

・『大学への日本史』は、佐藤さんの企画・編集・解説で『いっきに学び直す日本史 古代・中世・近世 教養編』『いっきに学び直す日本史 近代・現代 実用編』の2冊に分けてリニューアル復刊された。
 この参考書は、歴史上の重要な事件もかなり細かなところまで記述していながら、一人の著者が書き上げているのでストーリー性が非常に高く、読み物としても非常に面白い。ポリシーとしても、世界基準であるセンターレフトを保っているのでバランスがいい。山川出版社の『日本史用語集』があれば、世界のエリート層とコミュニケーションを取る時にも確実に通用する。
 →世の中の仕組みを勉強するにつれて「あの歴史があってこそ、現代があるのだ」とつながって理解できるようになる。

・中学の教科書を声に出して読んで自分のものにする。
 →文法をいちいち意識しなくても、構文の仕組みが感覚的に分かるようになる。その上で必要な単語を覚えていけば、そのまま英語が使えるようになる。母国語であっても、語彙数と教養には相関関係があると言われている。語彙は「教養のあるなし」を如実に反映する。

・テキストが書かれた文脈を理解しながら、その貯砂の意図に則して読むことがまずは大切で、批判的な検討を加えるのは、その次の作業。
 →感情や勘で読んでしまうと、全く異なる意味に捉えてしまうこともある。

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